「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」は、マレーシアで開かれている第4回総会で、ミツバチなど花粉を媒介する動物と食料生産に関するアセスメント報告書を公表した。これは科学的知見と政策決定を結びつけるIPBESの取組で初めてのテーマ別アセスメントで、科学だけでなく先住民や地域固有の知識も取り入れたという。作物が実を結ぶために不可欠な花粉媒介を、昆虫類、鳥類、コウモリなど多様な動物が担っている。しかしこうした動物は、土地利用の変化、農薬、侵略性外来種、病気・害虫、気候変動等によって急激に減少しており、脊椎動物で16.5%、無脊椎動物(特にミツバチとチョウ)では40%が絶滅の危機に瀕しているという。一方、アセスメントでは、花粉媒介動物を守るための方法も示しており、生息地の多様化、まだら状生息地や輪作を管理する伝統的農法の支援、花粉媒介者の農薬曝露の低減(農薬使用量の削減、代替害虫防除方法の導入、農薬飛散を減らす技術の使用)等を挙げている。