スイスのジュネーブで、2009年5月11~15日まで開催される「第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)」において、世界保健機関(WHO)は、化学物質の使用に伴う危険性が、途上国で増大しつつあると警鐘を鳴らす文書を提出した。この文書によると、化学物質の生産と利用は世界中で増加しているが、特に途上国と経済移行国では、化学物質の生産・加工・利用が経済成長と密接に結びついており、増加が顕著だという。また、最近の化学物質事故として、2008年3月にアンゴラで大規模な臭化ナトリウム中毒により467人が被害を受けた事件、2009年2月にセネガルでリサイクル電池の鉛で18人の子供が死亡した事件等を挙げつつ、これらは氷山の一角に過ぎないと指摘。途上国や経済移行国での化学物質の生産・利用の増加に対応して、保健部門は、リスク評価や化学物質事故の影響への対応など、追加的な役割や責任に直面していると指摘した。また、新たな化学物質を社会に導入する際には、保健部門が従来の役割と責任を拡大して対応する必要があるとしている。