ラムサール条約事務局は、世界の湿地に関する報告書を公表し、都市化等を背景に湿地は森林の3倍の速度で消滅していると報告した。1970~2015年の間に世界の湿地の約35%が失われ、2000年以降は消滅率が年々加速しているという。湿地は生物多様性に富み、淡水の供給源、炭素の吸収源でもある。また気候の調節や災害リスクの低減に寄与するなど多面的に人間や他の生命を支えている。報告書は、湿地の価値が過小評価されていると指摘すると共に、残存する湿地についても汚染や荒廃等が危惧され、湿地の動植物の25%以上が絶滅の危機にあると警鐘を鳴らす。報告書によれば、対策としてラムサール湿地の登録数を増やすだけでは不十分であり、政策決定者には、湿地の重要性について意識啓発を図る、湿地管理計画を策定する、湿地保全を施策に組み込む、湿地保全のための財源を確保する、湿地の賢明な利用に向けた解決策を見出すこと等が早急に求められている。同条約のウレゴ事務局長は、「湿地無くして持続可能な開発目標は達成できない」と述べている。