北極の気温が、20世紀後半の50年間で急激に上昇したとする研究成果が、アメリカ・北アリゾナ大学のカウフマン氏率いる研究チームにより、2009年9月4日付のサイエンス誌に発表された。研究チームでは、西暦2000年までの2000年間について、地質・生物学的な記録やコンピュータシミュレーション等を利用して、北極の夏の気温の変化を解析。当初、気温は1000年毎に約0.2℃ずつ低下し、小氷期に入ったが、寒冷傾向は1850年に終わったという。20世紀半ばには寒冷傾向が続いた場合より0.7℃、1990年代には1.4℃上昇したことが分かり、カウフマン氏は、人間が気候変動に影響を及ぼしている証拠を示すものだとしている。また、北極では、氷の融解による地面の露出や海域の拡大により、太陽熱が吸収され、他地域よりも早く気温が上昇する「北極増幅現象」が知られている。20世紀中は北半球の他の地域より、3倍近く早く気温が上昇したが、22世紀にもこの現象の継続が予測されるという。