フィンランド環境研究所(SYKE)は、食生活が気候に及ぼす影響を調査する「フード・ミニマム」プロジェクトの報告書を公表した。それによると、肉消費を減らすなど食生活を変え、耕作地の炭素貯蔵機能に配慮することで、食生活が気候に及ぼす影響の30~40%を軽減できるが、そのためには食糧システムの大規模な改革が必要になるという。これまで同国の食糧政策は食糧部門の自主的措置を重視してきたが、プロジェクトによればこうした自主的措置には合意に基づく公共の目標と規制、情報・資金面の支援が必要だという。また、農業支援金と税制は環境及び健康への影響の観点から精査する必要があり、植物由来の食糧生産への投資や新たな価値チェーンの創出も求められる。一方、肉消費を減らすことが一般化して、草を食む家畜の頭数が減少する場合は、作物多様化や輪作などの対策を講じて土壌の炭素貯蔵量を増やすことが一層重要になる。栄養に関しては、気候に優しい食生活に移行することは、栄養面など、改善される課題もあるが、新たに生まれる課題もあることが指摘された。