フィンランド環境研究所(SYKE)は、人口増加と高齢化により医薬品の使用量が増加しているが、その結果、下水中の残留量が増加しているとして、この問題の課題と、適切な処理方法を報告した。環境中に放出される医薬品の有効成分の負荷は、医療機関、家庭などの一次発生源や、自治体の排水処理場での排水処理を強化することで低減可能である。医薬品は低濃度で効果を発揮することを目的としていることから、環境中の濃度が低いにもかかわらず、内分泌かく乱作用による生殖への影響や、向精神作用による行動への影響が懸念されている。さらに、環境中で医薬品同士が混合する影響や、排水中に存在する他の汚染物質との累積的な相互作用については十分な情報がないという問題を有している。排水処理は濃度の高い一次発生源で除去する方が効率的であり、廃棄物管理を改善し、不必要な薬剤を削減するために、法律、勧告、対話などの様々な政策手段によって環境への薬剤負荷を削減する必要がある。