世界資源研究所(WRI)は、香港上海銀行(HSBC)と協力し、南・東南アジア地域での、金融面での環境リスクの評価の現状を分析し、対策案とともに発表した。WRIとHSBCは、これまでに環境リスクの財政的影響について、不動産や食品等3産業について分析した報告を発表しているが、今回の報告書は、その研究過程で得られた知見や、報告書発表後の業界の意見をもとに、投資家等の金融業界における課題と対応策をまとめたもの。アジアの企業活動が、台風や洪水、水不足などの環境要因により打撃を受ける可能性は高いが、個々の企業が持つリスクを金融界が分析し企業価値の評価に結び付けるまでには至らない場合が多いという。報告書はその要因を、特にアジア地域での1)公開データの不備、2)状況分析の不足、3)環境リスク予測の難しさにあると分析し、対策として、投資家が企業や政府に開示要求する情報内容や、状況分析のため地理情報システム(GIS)を用いた例を紹介。さらに、環境リスクによる経済活動への影響予測は不確かさが伴うため、これに対するシナリオ分析、感度分析といった分析方法も提示している。