欧州環境局は、EU27か国における2009年の主要大気汚染物質の排出量が減少したと報告した。これは、長距離越境大気汚染条約(LRTAP)に基づいて、同局が国連欧州経済委員会に提出した「大気汚染物質排出インベントリ」で明らかにしたもので、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)など数種の汚染物質は2008年に比べ大幅に減少した。今回の状況は、景気低迷による電力需要の低下が主な要因で、発電所などから排出される汚染物質が減少したためだという。また、インベントリによると、長期的にみても主要汚染物質の大部分が減少傾向にあり、特にSOxの排出量は、1990年比で80%減少と最も顕著で、2008年から2009年の1年間でも21%減少した。NOxに関しては、道路輸送による排出が、三元触媒コンバーターの導入や排出規制強化などによって、1990年比で42%減少しているが、一方で、航空機による排出は79%も増加した。なお、汚染物質の排出量は大幅に減少したものの、大気質自体は、特に都市部でいまだに改善されていないという。