科学技術振興機構(JST)は、1枚の断面スライスから4枚のウェハが取れるサイズの大口径・高品質な太陽電池用シリコンインゴット単結晶の作製に成功したと発表した。新しい結晶作製法であるNOC法では、従来の4倍以上の断面積のシリコン結晶を得られるが、温度が管理しづらいという課題があった。今回研究グループでは、2つのヒーターとカーボン製の保熱材の組み合わせによって、大きな結晶の成長に必要な広い低温領域の確保を実現した。これにより、標準的なサイズである50cm径の石英ルツボを用いて、40cm径以上のシリコンインゴット単結晶を作製することに成功した。今後、結晶のさらなる高品質化を目指し、結晶欠陥の一種である転位をゼロにする技術が確立すれば、最高レベルの変換効率を持つシリコン太陽電池に適用できるウェハの作製コストについて3割程度の削減が期待できるという。