日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、工業材料で製作した熱化学法ISプロセス水素製造試験装置による水素製造に成功したと発表した。同プロセスは、高温の熱を用いて化学反応のサイクルを駆動して水を分解する「熱化学水素製造法」。1)原料水をヨウ素(I)や硫黄(S)の化合物と反応させ、2)生成するヨウ化水素(HI)及び硫酸(H2SO4)に熱を加えて分解し、3)水素と酸素を製造する、の3つの反応工程で構成されている。ヨウ素と硫黄はプロセス内で循環するため、環境に廃棄物を出さない。また、高温ガス炉と組み合わせることで、炭酸ガスを排出せずに大量の水素製造が期待できる。今回、プロセスの反応工程別の機能確認に加え、3反応工程を連結した世界でも例の少ない水素製造試験装置の試運転に成功した。今後、水素製造試験装置の試運転で明らかになったヨウ素の析出防止対策等の改良を行い、安定的な水素製造を目指して、システムの実用化に必要な研究開発に取り組むという。