環境省は、「環境インフラ海外展開基本戦略(令和7年版)」を策定した。これは、気候変動・生物多様性損失・汚染という三重の環境危機に直面する世界において、特に人口と経済力が急成長する東南アジアなどグローバルサウス諸国に向けた環境インフラの国際展開を推進するものである。
本戦略は、2017年に策定された旧版の成果を踏まえつつ、競争力や官民連携、ファイナンス、ルール形成といった課題に対応するために改訂された。背景には、2024年12月に政府が掲げた「インフラシステム海外展開戦略2030」において、2030年までに45兆円の受注目標が設定されたことがある。――戦略のビジョンは、グローバルサウス諸国を「共創のパートナー」と位置づけ、国際協調による脱炭素・環境改善への貢献と、日本の環境産業の持続的成長の両立を目指すものである。具体的には、以下の3つの柱を中心に展開される。
第一に「制度的基盤構築」では、日本のGX(グリーントランスフォーメーション)やGOSAT-GW(温室効果ガス観測衛星)、循環経済、ネイチャーポジティブなどの経験・技術を活かし、国際ルール形成を主導する。パリ協定に基づく温室効果ガス削減目標(NDC)策定支援や、衛星観測による透明性確保も含まれる。第二に「国際環境インフラ市場の形成」では、JCM(二国間クレジット制度)を活用した民間投資の拡大や、都市間連携による緑の街づくり、早期警戒システムの導入支援などが挙げられる。国際開発金融機関(MDBs)との連携も重視されている。第三に「互恵的パートナーシップの強化」では、ASEAN気候変動環境戦略計画(SPACE)やAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)などを通じて、資源循環やサプライチェーン強靭化を図る。官民連携による人材育成やニーズ・シーズマッチングも推進される。
同省は、本戦略を国際社会との協調のもと、環境インフラの質的向上と持続可能な成長を両立させる枠組みと位置づけている。
情報源 |
環境省 報道発表資料
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機関 | 環境省 |
分野 |
地球環境 |
キーワード | 生物多様性 | 循環経済 | 二国間クレジット制度 | 汚染防止 | 気候変動対策 | 官民連携 | 環境インフラ | ネイチャーポジティブ | グローバルサウス | 国際協調 |
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