環境省関東地方環境事務所、東京都および(公財)山階鳥類研究所は、アホウドリの新繁殖地形成事業の成果を発表した。同事業は、伊豆諸島鳥島で生まれたアホウドリのヒナを小笠原群島の聟島(むこじま)に移送し、新しい繁殖地の形成を目的として、2012年からモニタリングを実施しているもの。今回、聟島から約5km南に位置する媒島(なこうどじま)で2014年5月に巣立った個体(雌)が、2017年3月1日、聟島に戻ってきて成長した姿で観察された。同個体の親は、2015年2月に媒島で確認された番い、雌(2009年聟島巣立ちの人工飼育個体)と雄(鳥島生まれの野生個体)で、小笠原諸島で生まれた世代の小笠原への帰還は初めてである。このことは、移送・人工飼育した個体が、野生個体と同様に子を育てることができることを明らかとし、小笠原諸島で繁殖できる可能性を示すものであり、同事業は着実に前進しているという。