北海道大学は、冷温帯林の地表付近で生成されたエアロゾルが雲粒の生成に影響を与えていると報告した。同報告は、同大学の苫小牧研究林における長期的な大気観測を通じて、得られた大気試料を化学分析した結果に基づくもの。森林内の大気微小エアロゾルの「雲粒生成能力を示すパラメーター」と「硫酸塩と水溶性有機物の質量比」との関係を調べたところ、エアロゾルに含まれている有機物の存在割合が大きい秋に雲粒生成能力が最小となり、土壌や落ち葉など地表付近から放出される有機物が雲粒生成能力を抑制しうることを発見した。この成果は、高緯度帯の森林における大気観測の重要性を示唆するとともに、植生や土地利用の変化に伴う有機物の種類と量の変化が気候変動に及ぼす影響の予測に資する知見になるという。