住友化学(株)は、透明樹脂のひとつであるポリメタクリル酸メチル(PMMA)をベースに、自動車の前面窓やルーフ部材の軽量化に役立つ透明樹脂の研究開発成果を公表した。同社は、内閣府の革新的研究開発プログラムにおいて、薄くてもたわみが小さく、割れにくい「高剛性・高タフネス透明樹脂」の開発に取り組んでいる。今回、先行研究(東京大学、大阪大学、九州大学、名古屋大学、理化学研究所)との連携により、高分子材料の破壊に関する仮説「脆性-延性転移」に着目し、プラスチック材料においては透明性と耐久性が高く、傷がつきにくく硬いとされるPMMAの長所を活かしつつ、割れやすいという短所を克服することに成功した。JIS規格の「自動車用安全ガラス試験」に準拠する前面窓用合わせガラスの耐衝撃性試験をクリアしており、従来のルーフ部材を代替した場合は大幅な軽量化(合わせガラス重量の6割超、鋼板重量の4割)および省エネ化が見込まれるという。