東京大学(大気海洋研究所)、筑波大学および国立環境研究所(NIES)の研究チームは、温暖化時の地表気温上昇および降水量増加の相互関係を解明した。東大とNIESが国内の他機関と共同で開発してきた全球気候モデルMIROCを用いて温暖化シミュレーションを行った結果、これまで別々に推定されていた平衡気候感度(CO2濃度倍増時の地表気温上昇量)と水循環感度(1℃の気温上昇に対する降水量の増加割合)という気候システムの2つの感度が逆比例の関係にあることを明らかにした。詳細な解析から、温暖化時の大気下層の雲の変化が2つの感度を関連付けているというメカニズムが提唱された。さらに、人工衛星から得られる放射データを用いて、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書に引用された各国の気候モデルによる温暖化シミュレーション結果を制約することに成功し、水循環感度が従来の見積りよりも3割ほど小さくなるという結果を得た。これは、地球温暖化で地球全体の降水量は想定したほど増えない可能性を示するものであり、気候変化予測の不確実性を低減することに寄与する。