岐阜大学、大妻女子大学など2大学、御所浦白亜紀資料館(天草市)および総合地球環境学研究所など2機関からなる研究グループは、最終氷期末のシベリア永久凍土連続地帯で発生した大規模融解を復元した。同研究グループは、中央アジアの湖沼堆積物に関する研究のなかで組織化されたもので、ユーラシア内陸の環境変動復元などに取り組んできた。今回、バイカル湖やモンゴル北西部に位置するフブスグル湖の堆積物コアを採取し、硫黄含有量・硫黄同位体比の変動に関する分析を行い、その結果と世界各地の気候変動の指標を比較したところ、最終氷期から完新世の温暖期に移行する時期に硫黄含有量等が特異な値を示すことが分かった。硫黄の地球化学的挙動や硫黄同位体分別作用の面から考察した結果、硫黄含有量等の変動が永久凍土の大規模融解によって引き起こされたものであることや、永久凍土の境界移動、大規模融解に伴う土壌の堆積環境の変動などが示唆されたという。