京都大学は、ナノサイズの疎水性空間に閉じ込められた「水」の性質を実験的に検証した。通常の環境下では、水は0℃で凍り100℃で沸騰する物質と認識されているが、ナノチューブに閉じこめられた水は、特殊な構造の氷をつくり、凍る温度が明瞭でなくなり、粘性が著しく低下し、水分子が高速で動き回る(引っ付き合わず、動きやすい)状態にあるといった理論研究の成果が報告されている。同大学は、ナノチューブに閉じこめられた水の挙動に関する実験的な裏付けを確保するために、サイズや形状の制御が困難であったナノチューブの合成法を改良し、内部に水を取り込ませることに成功した。今回作製したナノチューブを観測し、多角的に解析した結果、理論研究において提唱されてきた挙動を再現できることが確認された。これまでの予測結果を実証したという点のみならず、生体膜タンパク質を模した高効率な水の浄化膜などの開発にもつながる成果であるという。