森林総合研究所と日本大学の研究グループは、木質バイオマスへ利用できる「ヤナギ」の収穫について、変動要因を解明した。木質バイオマスは、地球温暖化対策としての再生可能エネルギーとして期待されている。同研究グループは、欧米諸国で行われているヤナギの栽培による木質バイオマス生産手法の日本への導入を目指し、研究を進めている。この欧米における栽培手法は、2〜5年で地上部を伐採・収穫し、萌芽で再生させ、6~8回ほどの収穫を繰り返す。世界中のヤナギの栽培試験は4回程度の収穫にとどまり、さらに収穫回数が増えた時の収量への影響はよく分かっていなかったが、今回の10年間に及ぶ収穫試験により、収穫回数と収量との関係を統計モデルで明らかにした。その結果、毎年収穫をすると収量は低下し10回目で半減すること、1年おきに収穫すると収量の低下が抑えられることが分かった。また、成長期の日照時間が短い場合、開葉時期の気温が低い場合などで収量が低下することも明らかになった。収穫回数や気象条件がヤナギバイオマス収量に及ぼす影響を定量的に明らかにした世界初めての研究であるという。