第57回市村地球環境学術賞の受賞者(功績賞1件、貢献賞1件)が公表された。市村賞は、(公財)市村清新技術財団が日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげた研究者・グループを表彰する権威ある技術賞である。同省には4つの部門が設けられており、地球環境学術賞は地球温暖化防止・対策に関する技術分野において顕著な業績をあげた者に顕彰される。──京都大学の藤森教授と大城助教が功績賞を受賞した。両氏の研究は、エネルギーシステムモデル、経済モデル、家計消費モデルの3つを有機的に結合させ、革新的なエネルギー技術が脱炭素化に果たす役割と導入条件、エネルギーシステム変革がもたらす経済・貧困・格差への影響を明らかにした。特に、低所得者への悪影響とその対応策を考慮した点が評価されている。この研究は、IPCC報告書や国内外の環境政策に貢献し、社会的に大きな影響を与えている。──一方、貢献賞はNEDOの「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」に参画していた京都大学と東京農工大学が受賞した。両大学の研究者らは、燃料電池システムシミュレーター「FC-DynaMo」を開発し、国内204の団体と個人に提供している。FC-DynaMoは、燃料電池スタックや周辺機器を含むシステム全体の性能を定量的に計算する革新的なツールである。燃料電池の研究開発が効率化され、水素社会における日本の競争力強化につながった。