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 森林総研など、山地森林の放射能汚染における「霧」の関与を解明

発表日:2020.03.13


  (国研)森林研究・整備機構森林総合研究所を中心とする研究グループは、福島第一原子力発電所事故の際に放出された放射性セシウム(Cs)が、雨だけでなく「霧」も関与して拡散、沈着したことを明らかにした。霧は隠れた降水とも言われ、雨量計では測れないことから、森林のなかに観測塔を設置し、専用の霧サンプラーを用いた「霧水」の採取や化学分析が行われている。今回、2011年の事故直後に東京大学・秩父演習林(埼玉県秩父市)で採取した霧水サンプルと、林外の降水と林内の降水(以下「林内雨」)の放射性Cs濃度を分析した結果、霧水と樹冠を通過した林内雨の放射性Cs濃度は降水よりも高いことが分かった。樹冠を通過した雨水の放射性Cs濃度は低下するという通説を覆す結果となったため、東日本21箇所の林内雨の解析を進めたところ、標高350 m以上の山地森林では林内雨の放射性Cs濃度が相対的に高くなる傾向が見出され、これら山地森林での霧や雲による放射性Csの沈着が示唆された。「霧」の放射性Cs濃度は雨よりも高く、葉の表面や樹皮に長時間付着し続けるため、このような山地森林では樹木表面から放射性Csが吸着した可能性が考えられるという。

情報源 森林研究・整備機構森林総合研究所 研究紹介
機関 森林研究・整備機構森林総合研究所 茨城大学 気象庁気象研究所
分野 自然環境
大気環境
キーワード 森林 | 森林総合研究所 | 吸着 | 放射性セシウム | 秩父市 | 福島第一原子力発電所事故 | 霧 | 霧サンプラー | 霧水 | 樹冠
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