東京理科大学、日本大学、京都大学および立命館大学の研究グループは、赤外自由電子レーザー(IR-FEL)を2段階に分けて照射することで、セルロース(多糖)を効率的に単糖分解できることを発見した。東京理科大学はIR-FELの高性能化と利活用に関する研究拠点を1999(平成11)年に設置し、生命科学分野における応用研究などに取り組んでいる。同研究グループは、セルロースの吸収スペクトルが「グリコシド結合」におけるC-Oの伸縮振動などに応じたピークを示すことから、結合の切断(グルコース分解)に関与し得る波長のIR-FELを照射し、その際の影響を評価した。その結果、グルコースおよび2量体・3量体・4量体を検出できる波長帯が見い出され、特定の波長のIR-FELを照射することで、先ずセルロース分子鎖がほぐれ、次いで結合の解離が生じることが明らかになった。環境への負荷の少ないセルロース前処理プロセスをはじめ、森林バイオマスの画期的なリサイクル活用方法の創出が期待できるという。