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 農研機構など、穀物生産における適応策の限界や検討視点を発見

発表日:2020.10.01


  農業・食品産業技術総合研究機構を中心とする研究グループは、世界の穀物生産を温暖化の進行に適応させていくための対策(以下「適応策」)が実行された場合の費用算定フレームを発表した。同研究グループは気候変動と食糧安全保障に関する研究の一環として、収量予測に関する経験的なモデルや、世界の主要穀物 に及ぼす影響を50 kmメッシュで予測するモデルを開発している。今回、先行研究の成果や開発途上国における適応技術の普及動向に関する知見等を踏まえ、適応技術の進展等はIPCCが活用している社会経済シナリオに沿うという仮定のもと、RCPシナリオ(低位安定化~高位参照)に基づき、気候変動が穀物生産に及ぼす経済的影響(内訳:①収量低下による生産被害額の軽減に要するコスト、②収益を確保できる範囲内で対策を実施しても対処しきれずに残る被害額)を評価し たところ、温度上昇が2.0℃以上になると費用②の割合が増大し、生産資材などを追加投入するといった比較的簡易な適応策では気候変動の悪影響を軽減するうえで限界があることが分かった。栽培作物種の変更や新たな灌漑設備の整備といったより大きな変化を伴う適応策の検討が必要であるという。

情報源 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 プレスリリース
機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 (国研)国際農林水産業研究センター 農林水産省農林水産政策研究所
分野 地球環境
キーワード 灌漑 | 気候変動 | IPCC | 適応技術 | 開発途上国 | 食糧安全保障 | RCPシナリオ | 主要穀物 | 50kmメッシュモデル | 社会経済シナリオ
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