東京大学、沖縄科学技術大学院大学および水産研究・教育機構の研究グループは、造礁サンゴのなかで最も繁栄しているミドリイシ属(Acropora)の仲間が、地球が温暖だった白亜紀にユニークな遺伝的特性を獲得したと発表した。同研究グループは、ミドリイシ属繁栄の謎を探るため、同属15種ほか3種の全ゲノムを解読するとともに、化石記録と照らし、同属の系統分岐を精査した。その結果、同属の祖先種は白亜紀頃に登場し、その後28種の遺伝子ファミリーの遺伝子数を増やしつつ、多くの種類に分岐してきたことが明らかになった。また、海藻や植物プランクトンが生成した有機硫黄化合物を硫化ジメチル(DMS)に転換する遺伝子が、ミドリイシ属のみで数を増やしていることを見い出した。海水中のDMSは、大気中に放出され、硫酸塩エアロゾルに形を変え雲の核を成す物質として注目されている。今回同定した遺伝子(DMSPリパーゼ)の役割は不明だが、ミドリイシが雲を作りながら温暖化を克服したかもしれないという環境適応戦略を示唆しており、サンゴ保全に役立つ評価ツールに成り得るという。
情報源 |
東京大学大気海洋研究所 プレスリリース
沖縄科学技術大学院大学 プレスリリース |
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機関 | 東京大学大気海洋研究所 沖縄科学技術大学院大学 水産研究・教育機構 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 造礁サンゴ | 沖縄科学技術大学院大学 | 硫化ジメチル | 水産研究・教育機構 | 遺伝子ファミリー | 硫酸塩エアロゾル | ミドリイシ属 | 白亜紀 | 系統分岐 | DMSPリパーゼ |
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