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 奈良女子大など、ダム堆砂の還元による生態系回復効果などを評価

発表日:2021.04.09


  奈良女子大学、北海道大学、熊本大学、兵庫県立大学、徳島大学および名古屋工業大学の研究チームは、ダムに堆積した土砂を掘削・浚渫し、下流の河道に仮置きする手法(以下「土砂還元」)が河川生物におよぼす影響を評価した。ダムは河川横断工作物であるため、流砂量の減少に伴い、下流域の河床では大きな礫が優勢となる。これまで,土砂還元がダム本来の機能維持に資することは理解されているが、河床環境の改善や河川生物の動態は不明であったことから、同研究チームは岐阜県の阿木川ダム周辺で野外調査を行い、土砂還元前後の環境要因や底生動物群集の構造を比較した。その結果、土砂還元により河床材料のバランスがとれた環境が形成され、土砂を巣材とする「携巣性トビケラ」の種数や密度が増えていることが分かった。また、同種の増加を介して餌となる藻類の過剰繁茂が抑制され、健全な生物群集への回復を促した可能性が示唆された。支流域からの継続的な土砂供給によって同様の効果が発現するという知見(Katano et al. 2009)等を踏まえ、「適切な量」による土砂還元の実施を提言している。

情報源 北海道大学 PRESS RELEASE
熊本大学 ニュース
機関 奈良女子大学 北海道大学 熊本大学
分野 自然環境
キーワード 名古屋工業大学 | 岐阜県 | 兵庫県立大学 | 徳島大学 | 土砂還元 | 河床環境 | 阿木川ダム | 底生動物群集 | 河床材料 | 携巣性トビケラ
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