気象庁気象研究所は、氷床上の降雨量を定量化することに成功した。北極域では急速な温暖化が進行しており、これまで雪であった降水が雨として降る頻度が増大する可能性や、雨による氷床表面の融解、さらには氷河の流動・海洋流出の加速が懸念されている。同研究所は、ヒーター付き雨量計を多点で展開することが難しい氷床上の降雨量の実態把握に向けて、「雪氷圏に特化した領域気候モデル」による数値シミュレーションを行った。モデルの信頼性を確認した上で、1980~2019年のグリーンランド氷床上における降雨量と雪・雨の内訳を解析した結果、同地の降水に占める雨の割合は統計的に有意に増加していることが明らかになった。また、氷床全域と氷床を構成する8個の流域の降雨量変化を解析したところ、日本の研究チームが着目していた北西部で増加傾向が最も顕著であることが分かった。さらに、月別の解析結果から、氷床全体では9月に、北西部では7月に増加傾向が顕著となる季節特性も示唆された。一方、極端気象や温暖化の目安となる「月最大1時間降雨量」を計算した結果、氷床全域で9月に増加していることや、南部における増加が顕著であることが分かった。
情報源 |
気象庁気象研究所 報道発表
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機関 | 気象庁気象研究所 国立極地研究所 |
分野 |
地球環境 |
キーワード | 氷床 | 温暖化 | グリーンランド氷床 | 降雨量 | 雪氷圏 | 北極域 | 表面融解 | 領域気候モデル | 季節特性 | 月最大1時間降雨量 |
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