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 北大など、カービング氷河-フィヨルド特有の仕組みが果たす役割の全容を解明

発表日:2020.09.30


  北海道大学と東京大学の研究グループは、末端部が海などに流れ込んでいる氷河(カービング氷河)で見出した水循環の仕組みが、フィヨルドの水産資源保全等に重要な役割を果たしていることを解明した。同研究グループは、氷が崩壊しやすく狭隘であるため敬遠されてきたカービング氷河とフィヨルドの境界(以下「研究対象地」)における現場観測等を実現し、夏に生じた氷床の融け水がフィヨルドに流出し海水混合する過程において、循環ポンプシステムのように働く湧昇流(以下「氷河ポンプ」)が存在していることを発見した(Kanna,N. et al., 2018)。今回、研究対象地における継続的な観測活動とクリーン技術による採水・分析、さらに現地住民との連携による小型ボート観測を実施したところ、氷河ポンプは氷床の融け水に含まれている鉄分とフィヨルド中層の海水中の栄養塩を海面に補給し、植物プランクトンの光合成や増殖に寄与していることが明らかになった。温暖化の進行に伴うカービング氷河の縮小、氷河ポンプの駆動力低下が海洋生態系におよぼす負の影響が懸念されるという。

情報源 北海道大学 新着情報
機関 北海道大学 東京大学大気海洋研究所 ArCSⅡ
分野 地球環境
キーワード 東京大学 | 氷床 | 北海道大学 | 栄養塩 | 温暖化 | クリーン技術 | 植物プランクトン | 鉄分 | 水産資源保全 | 氷河ポンプ
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