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 京大など、自然氾濫原の生物多様性ダイナミクスを解明

発表日:2021.12.10


  京都大学と北海道大学の研究者らは、「水の満ち引き」が自然氾濫原における生物多様性保全・創出の原動力となっていることを実証した。治水・利水とともに河川本来の景観や生態系保全機能等に配慮した河川管理(国土交通施策名「多自然川づくり」)が求められ、築堤によって劣化した「氾濫原」の価値が見直されている。両大学は、とりわけ希少性の高い自然氾濫原に焦点を当て、2017年に北海道大学雨龍研究林(所在:雨竜郡幌加内町)の残存する自然氾濫原などを対象とする調査研究プロジェクトを立ち上げた。今回、過酷な条件下(融雪洪水後期~収束)で、氾濫原の水の流れや多種多様な生物(魚類、両生類・水生昆虫、プランクトンなど)の応答を徹底調査した結果、水の動態履歴(氾濫ピーク時の流れの有無、氾濫収束時の流れの止まるタイミング、低水時の流れの有無など)が、氾濫収束後の生物相に大きく影響することが判明した。個々の現象を包括すると、河川の流路変更により形作られる「三日月湖(旧河道)などの複雑な地形」と「季節に応じた河川の流量変動」が多様な水生生物の棲み分けと共存の実現をもたらしたと考えられた。直線化された都市河川を自由に氾濫させることは困難であるが、河川工学の研究者・河川管理者らと今回の知見を共有し、人と自然の双方にとってより良い河川管理に活かしていきたいと述べている。

情報源 京都大学 Latest research news
北海道大学 TOPICS
機関 京都大学 北海道大学
分野 自然環境
キーワード 生物多様性 | 多自然川づくり | 河川管理 | 氾濫原 | 水の満ち引き | 自然氾濫原 | 雨龍研究林 | 融雪洪水 | 三日月湖 | 河川工学
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