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 滋賀県⽴⼤・地球研など、「幸福度」調査の結果から森林保全施策を導出

発表日:2022.03.18


  滋賀県⽴⼤学、京都⼤学、早稲⽥⼤学、神⼾⼤学および総合地球環境学研究所(地球研)の研究チームは、琵琶湖流域の既往調査結果を詳細分析し、森林を所有する地域住⺠(以下「森林所有者」)の主観的幸福度(SWB: Subjective Well-Being)を⾼める施策のポイントを明らかにした。同研究チームは、地球研プロジェクト研究「⽣物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─⽣態システムの健全性(2013〜2020 年度)」のメンバーで、フィリピンのラグナ湖流域と琵琶湖流域の⾃然再⽣活動に焦点を当て、継続的な調査研究に取り組んできた。今回の成果は、当該プロジェクトの⼀環として実施した「森林に関する住⺠アンケート調査(対象:滋賀県野洲川上流域の住⺠、実施期間:2018 年3 ⽉)」から得られた新知⾒に基づくもの。地域の森林荒廃・林業離れ(意欲減退)を⽣態学・⼼理学・社会学・経済学の学際的な問題ととらえ、森林所有者のSWB を評価した結果、森林所有者のSWB は⾮所有者に⽐べて低めであることが分かっていた(⾼橋ら,2021)。今回さらに、森林所有者の低SWBを森林所有に係わる属性情報で説明するモデルに対し、「調整効果分析」という統計⼿法を適⽤したところ、森林所有者のSWB は森林浴や体験(リラックス効果、⽊⼯活動)によって低くなりにくくなることや、年齢が上がるにつれて低減効果が⾼くなることが明らかになった。また、財産区(共有林)の役員を務めること、所有林に占める⼈⼯林(スギ・ヒノキなどの植林)の⽐率が⾼いこと、所有林の境界を正確に把握していること、所有林に由来する収⼊・収穫の時期が、SWB の⾼低に影響することが⽰唆された。幸福の影響要因分析や、SWB による⽣活環境・⾃然環境(⽣態系サービス等)の評価がさまざまな国々で試⾏されており、⽇本でも幸福を含む概念「ウェルビーイング(Well-being)」を各種計画の評価指標に設定とするといった取組が始まっている(経済財政運営と改⾰の基本⽅針2021)。政策決定者や森林組合等の関連諸団体が「森林所有者のSWB 向上施策」を実施することが望ましい、と提⾔している。

情報源 滋賀県立大学 NEWS & TOPICS
総合地球環境学研究所 研究成果発表
神戸大学 研究ニュースサイト
機関 滋賀県立大学 京都大学こころの未来研究センター 早稲田大学人間科学学術院 総合地球環境学研究所 神戸大学
分野 環境総合
キーワード 生態系サービス | 琵琶湖 | well-being | ウェルビーイング | 主観的幸福度 | ラグナ湖 | 野洲川 | 調整効果分析 | リラックス | 木工
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