北海道大学高等教育推進機構と国立環境研究所は、「脱炭素化技術ELSIプロジェクト」の成果を紹介した。このプロジェクトでは、再生可能エネルギーやCO2除去技術を含む、エネルギー関連分野の脱炭素化技術を主な対象として、日本におけるその開発・利用に伴う社会的影響を多面的に評価するための新たな「評価枠組」開発を行っている。「ELSI（読み：エルシー）」とは、ethical legal and social issue を略した同プロジェクトの基本視点で、科学技術がもたらす倫理的・法制度的・社会的な課題全般を指している。ELSIとともに、「責任ある研究・イノベーション（RRI＝responsible research and innovation）」の考え方も重視している。プロジェクトを通じて、ELSIの視点を取り入れた脱炭素化技術の評価枠組を開発することで、当該分野におけるRRIの推進に寄与することを狙いとしている。また、対話を通じた協働・共創の構築アプローチ「参加型テクノロジーアセスメント（TA）」を踏まえ、技術開発の初期段階からの「多様な関係者との対話」をプロジェクト目標の実現に向けた手段として挙げている。2021年9月～2022年2月にかけて、社会の諸分野で持続可能な社会への抜本的な変化を牽引する「フロントランナー」や、脱炭素化技術等の専門家ら計26人と、脱炭素化技術のELSIに関する連続対話が行われた（オンライン形式、個別インタビューおよびワークショップ）。連続対話の結果や、開発中の評価枠組の案は、TAレポート「脱炭素化技術のELSIとその評価枠組」として取りまとめられた。北海道大学学術成果コレクション「HUSCAP」でダウンロード・閲覧することができる。
