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 琉球大など、サンゴ礁生態系の変貌ぶりとストレッサーを解明

発表日:2022.04.08


  琉球大学、英国のリーズ大学ほか海外2大学からなる研究グループは、サンゴ礁生態系が40年間で大きく様変わりしており、沿岸開発などの影響を強く受けていると指摘した。シンガポールや香港の沿岸水域では、水質の悪化(濁度の増加)に伴い、深い場所に棲息していたサンゴが光を得るために浅い場所に移動する「サンゴ礁の圧縮(compression of coral)」現象が報告されている。同研究グループは、沖縄市を含む2市4町3村と接し、陸域における都市化が進む沖縄島南東部の中城湾(なかぐすくわん)に着目した。中城湾は1970年代の沖縄本土復帰とともに沖縄県に移管され、それ以来、新港開発や大規模な埋め立てプロジェクトなどが進められてきた。45年前の調査研究では、中城湾のイシサンゴ類は枝状「ミドリイシ類」が優占的であると報告されていた(Yamazato and Nishihara, 1977)。しかし、今回、同湾の16地点で再調査を行ったところ、現在の中城湾はミドリイシ類が少なく、よりストレスに強い「ハマサンゴ類」が優占的であることが明らかになった。また、1970年代に水深5 m未満に確認されていたサンゴは深く移動しており、1970年代に水深10 m以深から発見されていたサンゴはより浅い水深に分布していること、すなわち「サンゴ礁の圧縮」が起きていることが確認された。一方、サンゴ礁に棲息する魚類については、種類の変化は認められたものの、魚種の全体的な機能(食性などの生態的な役割)は同じで、ジェネラリストとして適応していることが分かった。これらの知見から、人為的な活動に由来するストレスはサンゴ礁のみに大きな影響をおよぼすことが示唆された。サンゴ礁の圧縮においては、浅い場所に棲息するサンゴが白化・水温上昇に対処するために深い場所に移動する現象も同時に起きる。地球温暖化に伴う熱的なストレスなども考慮した、適切かつ中長期的なサンゴ礁保全の必要性を提唱している。

情報源 琉球大学 研究成果
機関 琉球大学 リーズ大学
分野 自然環境
キーワード 地球温暖化 | 熱ストレス | サンゴ礁生態系 | ストレス | イシサンゴ | ハマサンゴ | サンゴ礁の圧縮 | 中城湾 | ミドリイシ | ストレッサー
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