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 日本の永久凍土が消える!? 国環研など

発表日:2022.08.02


  国立環境研究所、北海道大学および海洋研究開発機構ほか2大学・研究機関は、日本の山岳地帯に分布している永久凍土(以下「山岳永久凍土」)が今後10年以内に消失、もしくは既に消失していると予測した。永久凍土は「地面の下で年間を通して0°Cを下回る領域がある場所」と定義されており、北半球の広い地域を覆っている。シベリアなどのツンドラ地帯のみに分布すると見られがちであるが、日本でも高緯度にある北海道の大雪山、標高の高い富士山・立山など、ごく限られた地点で永久凍土が確認されている。日本の山岳永久凍土は、全球的に見ると南限に位置しており、過去の気候や温暖化の進行状況を知る上で重要な手がかりとなる。今回、大雪山の山岳永久凍土に関する調査研究の成果(Yokohata, T. et al., 2021)を踏まえ、日本全域の現状評価・将来予測に実績のある診断手法を適用した。その結果、大雪山等3山に加え、北海道の日高山脈・知床岳・斜里岳・阿寒岳・羊蹄山と、北アルプス・南アルプスにも永久凍土が存在する可能性のある場所があることが分かった。また、9つの気候予測情報と温暖化シナリオを用いて「永久凍土を維持できる領域」の変化を予測したところ、各領域が3つのタイプ(長期維持型、境界型、危機型)に分類できることが分かった。さらに、緯度や標高が高い地域では21世紀末に永久凍土を維持しやすい環境がわずかに残るものの、日本全域で永久凍土を維持する環境が急激に減少することが示唆された。山岳永久凍土は気候変動影響の把握において重要であるが、その急激な融解沈下(サーモカルスト)は斜面の不安定化を引き起こし、高山生態系にも少なからぬ影響を与える。本研究は、多様な生態系を維持する山岳環境の大きな変化が避けられないことを示したものであり、山岳永久凍土のモニタリングを通じて、さまざまな適応策を検討することが重要である、としている。

情報源 国立環境研究所 報道発表
北海道大学 研究発表
海洋研究開発機構 プレスリリース
機関 国立環境研究所 北海道大学北極域研究センター 海洋研究開発機構 筑波大学生命環境系 国立極地研究所
分野 地球環境
自然環境
キーワード 気候変動 | 適応策 | 永久凍土 | 富士山 | 大雪山 | RCP4.5 | RCP8.5 | RCP2.6 | 立山 | サーモカルスト
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