国内ニュース


 グローバル展開を視野に!岩石の風化促進×CO2鉱物化技術を見極め 早大など

発表日:2022.10.19


  早稲田大学、北海道大学および京都府立大学は、新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)のムーンショット型研究開発事業に採択された「岩石と場の特性を活用した風化促進技術“A-ERW”の開発(実施期間:2022~2024年、予算上限:5億円)」の全体構想を紹介した。当該事業は、国が定めたムーンショット目標4(2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現)と、経済産業省が策定した研究開発構想を踏まえ、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を後押しするもの。本案件は、先進的な技術の見極めのために追加採択した5案件のひとつ。A-ERWの”A-“には、Advancedのみならず、開発技術のコンセプトを表すAccelerated、Accurate Accountingなどの意味が含まれている。”ERW“はEnhanced Rock Weathering(和訳:風化促進技術)の略称で、大気中のCO2を直接回収する技術として有望視されている。しかしながら、ERWの正確な効果測定はなされておらず、定量的なエビデンスが極めて少ない。今回、三大学および三菱重工エンジニアリング(株)等が結集し、ERWのブラッシュアップを図る。本案件では、ERWの概念を、粉砕等による「物理的な風化(比表面積の拡大)」と「物質輸送と化学反応によるCO2鉱物化」による一連のプロセスと捉え直している。北海道をモデル地域に選定し、玄武岩をはじめとするさまざまな岩石の適性やポテンシャルの調査を行い、岩石の採掘・前処理~散布~循環利用に至るトータルプロセスをパイロットスケールで実証する。また、実証データ等の蓄積を図りつつ、最終的にはモデル化や実験出力データを用いた予測などにも踏み込む。A-ERWは効果的なネガティブエミッション技術であるとともに、地域の資源循環・コベネフィットをもたらす技術になり得るという。プロジェクトマネージャー(所属:早稲田大学理工学術院)は、ERWの最たる課題であった「科学的な根拠に基づくデータの不足」を解決することで、日本発となる炭素会計の方法論を世界に示すことが可能となり、国際的なコンセンサス形成、ひいてはカーボン・クレジット市場の活性化等につながる、と抱負を述べている。

情報源 早稲田大学 Topics
北海道大学 Topics
機関 早稲田大学 北海道大学 京都府立大学 三菱重工エンジニアリング(株)
分野 環境総合
キーワード NEDO | 北海道 | ネガティブエミッション | ムーンショット | パイロットスケール | A-ERW | ERW | 風化促進技術 | CO2鉱物化 | 炭素会計
関連ニュース

関連する環境技術