新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、グリーンイノベーション基金事業「製造分野における熱プロセスの脱炭素化」に着手した。日本の産業部門におけるCO2排出量のうち、約3割は製造業に由来している。この事業は、金属を取り扱う熱プロセスの脱炭素化を目的としている。一次エネルギーが水素・アンモニアにシフトする時代を見据え、それらに適した工業炉(カーボンニュートラル対応工業炉)の技術開発を行うとともに、CO2を排出しない電気炉の経済性や効率性の一層の向上を図る(小型化、省エネ化等)。4つの研究開発項目が設定されており、カーボンニュートラル対応工業炉に関する共通基盤技術の開発を進めながら、アンモニア燃焼炉・水素燃焼炉の技術実証や電気炉の要素技術開発を行い、2031年度の社会実装を目指す(一部は2028年度まで)。事業規模は約453億円(NEDO支援規模:約304億円)で、脱炭素産業熱システム技術研究組合ほか8社からなるコンソーシアムが4つの研究開発項目を実施する。全てのテーマにおいて既存の工業炉と同一水準以上とすることを目標に掲げ、開発技術を適用する際の影響評価や設計の最適化、運用(操業)の効率化に資する汎用的なシミュレーション技術やデジタルツイン技術、ハイブリッド運転技術の確立にも取り組む。