産業技術総合研究所（産総研）は、2021年に開発した「湿度変動電池」を改良し、昼夜の湿度変化を利用して、暗所でも安定的に電子回路を駆動できることを実証した。湿度変動電池は、湿度が全く変わらない特別な環境を除けば、どんな場所でも発電できるデバイスである。しかし、これまでは発電出力が低く、電子回路を駆動できるほどではなかった。今回、産総研は「セラミック固体電解質膜」を用いることで出力の改善を図り、4カ月以上にわたって小型のワイヤレスセンサーを駆動することに成功した。──本成果により、湿度変動電池の実用化や、クリーン電源としての可能性が現実味を帯びてきた。同時に、湿度変化を利用した発電の熱力学理論も導出され、準静的サイクルでは効率100％の発電が可能であることが理論的に明らかになった。太陽電池の使えない暗所でも、電池交換不要でメンテナンスフリーのワイヤレスセンサーを使用できるようになるかもしれない。また、導出された理論に基づく、湿度変動電池の高性能化が期待される。