環境省は、全国のガンカモ類の冬期生息状況を把握するため、2025年1月に実施した「第56回ガンカモ類の生息調査(全国一斉調査)」の速報結果を公表した。本調査は1970年から毎年実施されており、野生動物の保護管理や希少種の保全、外来種対策、鳥インフルエンザ対応などの政策立案に活用されている。
今回の調査は、全国約8,700地点の湖沼等を対象に、約3,600人のボランティア調査員が双眼鏡などを用いて目視で実施した。その結果、全国で観察されたガンカモ類の総数は約188万3,400羽であり、内訳はハクチョウ類約7万3,700羽、ガン類約28万2,900羽、カモ類約152万6,600羽であった。
ハクチョウ類は、10年前と比較して約6%増加しており、特に新潟県、宮城県、岩手県の3県で全国の約58%を占めた。ガン類は約34%増加し、特にマガンとヒシクイが増加傾向にあるほか、国際的に保護増殖活動が行われているシジュウカラガンは前年比で約519%増と大幅な増加が確認された。一方、カモ類は約5%減少しており、特にマガモ、カルガモ、スズガモなど主要6種で個体数の減少が見られた。また、調査中にはアイガモ、アヒル、バリケンといった飼養品種も一部地域で確認された。今回の速報値データの精査を経て、8月頃に確定値が公表される。