自動運転技術の社会実装に向け、国と民間企業の連携が加速している。
総務省は、三菱総合研究所を中心とするコンソーシアムに委託し、「新東名高速道路の一部区間における自動運転レベル4トラックの実証」と、「V2N(Vehicle to Network)通信を活用したユースケース検証」を開始した。V2N通信は、車両とネットワーク間で情報をやり取りする技術であり、遠隔監視や先読み情報の提供を通じて、自動運転の安全性と効率性を高める鍵とされている。――この実証には、NTT、インターネットイニシアティブ、エム・アール・アイリサーチアソシエイツ、T2などが参画。T2は自社開発の自動運転トラック「レベル4トラック」を用いて走行実証を担い、2027年の幹線輸送サービス開始を目指している。通信品質の評価や改善策の検討に加え、V2N通信を活用した「先読み情報」や「遠隔監視」サービスの有効性が検証される。
一方、物流分野でもT2は存在感を強めている。NIPPON EXPRESSホールディングス、日本貨物鉄道(JR貨物)、T2の3社は、国内初となる自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた「モーダルコンビネーション」実証を開始。北海道から関西までの区間で、鉄道と自動運転トラックを接続し、貨物輸送の効率化と環境負荷の低減を図る。両者の接続には共同開発したコンテナを使用し、積み替え作業の自動化も視野に入れている。
両実証に共通して登場する「T2」は、自動運転技術を活用した物流サービスの事業化を目指す新興ベンチャー企業。Transforming Transportation(輸送の変革)を掲げ、2022年8月に三井物産らとの協業によって設立された。物流と通信の両面で自動運転技術の社会実装を牽引する存在として注目されている。同社の技術と実証成果は、今後の制度設計や事業化に大きな影響を与える可能性がある。