環境省は「令和6年度環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(2023年調査結果)」を公表した。――環境産業とは、OECDやEurostatの定義を参考に、環境保護および資源管理に寄与する製品・サービスを提供する産業群を指す。同省は、国内の環境関連産業の経済的影響を定量的に把握するため、毎年、統計調査を実施している(例:2022年調査結果)。報告書では、「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「廃棄物処理・資源有効活用」「自然環境保全」の4分野に分類されている。
2023年の推計によると、国内の環境産業の市場規模は約130.3兆円で、前年比5.9%増、2000年比では約2.1倍に達した。全産業に占める割合も11.3%と、環境分野が経済成長に与える影響が拡大している。雇用規模は約292.2万人で前年比0.3%減となったが、2000年比では約1.5倍に増加している。
輸出額は約23.5兆円(前年比19.5%増)、輸入額は約5.6兆円(前年比7.3%増)と、国際取引においても環境産業の存在感が高まっている。付加価値額は約52.4兆円、経済波及効果は約250.7兆円と推定され、いずれも前年比で増加傾向にある。
将来推計では、2050年には市場規模が約146.8兆円に達すると見込まれており、特に「廃棄物処理・資源有効利用」分野が全体の約52%を占めるとされる。ただし、これは既存産業の変化のみを対象としており、新産業の創出によってはさらに大きな成長が期待される。―― 環境省は、こうした統計をもとに政策形成や産業支援を進めるとともに、環境経済情報ポータルサイトにて関連情報を公開している。