原子力安全・保安院は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の計算結果をホームページに掲載したと発表した。SPEEDIは、原子力施設から大量の放射性物質が放出されたり、その恐れがあったりする場合に、気象条件や地形データなどをもとに、周辺環境における放射性物質の大気中濃度や被ばく線量などを予測するシステム。今回、福島第一原発の事故による影響確認等のための計算結果が公表された。なお、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、緊急時対策支援システム(ERSS)のデータ伝送システムに電源喪失や故障等が生じたため、SPEEDIの計算に必要な原子力発電所のプラントデータが入手できない状況となった。このため、今回公表された計算結果は、放射性物質の放出量を仮置きして計算したもので、現実の放射線量を示すものではない。仮置きした放出量は、以下を使用している。1)設置許可申請書に添付されていた仮想事故、重大事故時の放出量データ、2)設置許可申請書に記載されている安全評価の前提条件とした炉内放射能量、3)ERSSに予め用意されていた事故時の放出量の予測データ、4)単位放出量(1Bq/h)の積算値。