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 京都大学、甲虫の飛翔能力の退化が種多様化の主要な推進力となってきたことを確認

発表日:2012.02.01


  京都大学は、理学研究科の曽田貞滋教授らの研究グループが、昆虫の中でも特に種数が多い甲虫において、飛翔能力の退化が種多様化の主要な推進力となってきたことを確認したと発表した。一般に、移動分散力が乏しい生物ほど、異所的な集団間の遺伝的な分化が進み、そのために種分化を起こしやすいと考えられる。そこで今回、研究グループでは、全生物種の半数を占める昆虫の中でも特に種数が多い甲虫類(約35万種:昆虫の種の40%)について、「適応的に飛翔能力が退化した系統では、移動力が低下して、異所的種分化が促進され、種が増加する」という仮説を、ヒラタシデムシというグループで検証した。その結果、飛翔できる種では地理的集団間の分化の程度が非常に小さいのに対し、飛翔できない種では集団間で明らかに分化し、潜在的に異所的種分化が起きる可能性が高いことが確かめられた。また、系統樹の上で、飛翔能力を保持している系統と退化した系統との間で種分化速度を比較し、飛翔能力が退化した系統の方が、種分化率が高いことを示した。

情報源 京都大学 研究成果
機関 京都大学
分野 自然環境
キーワード 生物多様性 | 京都大学 | 生物種 | 昆虫 | 甲虫 | 飛翔能力 | 種分化 | 地理的
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