東京大学、国立極地研究所及び京都大学は、南極昭和基地大型大気レーダー(PANSYレーダー)が、本格観測を開始したと発表した。PANSYレーダーは、第52次南極地域観測隊により2011年2月に南極昭和基地に建設された世界初の南極大気レーダーであり、気候の将来予測の精度向上などに寄与することが期待されている。同レーダーは、2011年3月に部分稼動により初期観測に成功したが、その後の記録的な大雪のため、観測を中断していた。今回、第53次隊では、2011年12月下旬からの夏期間にアンテナを移設するとともに、その後の越冬中に予定されていた全体の1/4にあたるシステム調整を2012年5月に終え、対流圏・下部成層圏の本格観測を開始した。これによって、ブリザードをもたらす極域低気圧の物理的解明や、オゾンホールにも関係する対流圏界面の時間変動などの研究が可能となる。三者は今後、2012年11月出発予定の第54次隊によって、同レーダーのフルシステムを稼働させる予定で、さらに上空の中間圏や電離圏での大気現象の解明にも取り組んでいくという。