阪大と同大スタートアップ、液中プラズマでPFAS完全分解を実現
発表日:2025.07.24
大阪大学大学院工学研究科と同大発スタートアップ企業・ネクスファイ・テクノロジー(株)は、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の完全分解を可能にする新技術を共同開発した。
PFASは撥水性・耐熱性に優れた化学物質群で、工業製品に広く使用されてきたが、自然界で分解されにくく、環境中に長期残留することから、世界的に規制が強化されている。今回の技術は、SiCパワーデバイスと独自開発の高速パルストランスを組み合わせた高電圧パルス発生器を用い、最大1Mppsの高周波動作を実現。これにより、高速水流下でも安定した高密度液中プラズマを生成し、PFASの効率的かつ完全な分解を可能にした。
従来の低温プラズマ技術では分解効率が低く、特に短鎖PFASの完全分解は困難であったが、本技術ではPFOS・PFOA・PFHxSなどの主要PFASを規制値以下、さらには測定限界以下にまで分解することに成功した。この成果は、PFASの残留サイクルを断ち切る可能性を示すものであり、環境中からの根絶に向けた技術的ブレイクスルーと位置づけられる。また、同様に難分解性の有機化合物に対する応用も期待されている。――なお、本技術は特許出願中(特願2025-97960)であり、両者(社)は早期の社会実装に向けて、分解速度のさらなる向上を目指した研究を継続する方針だ。