クイーンズ大学(オーストラリア)の科学者を中心とした国際研究チームが、気候変動が海洋生物に及ぼす影響を包括的にとらえる新たな研究を行い、これまでの想定を上回る規模で海洋生物が気候変動に対応して変化しているとする結果を発表した。チームは過去に発表された数百の研究を調査して、気候変動に対する海洋生物の反応についてのデータベースを作成した。その内容は、海洋生物の分布、フェノロジー(生物活動の季節的タイミング)、群集・群落の構成、個体数、個体数動態など広範にわたる。分析の結果、個体群や生息する海盆に関わらず、約83%が、気候変動による影響として想定されるものであったという。たとえば温暖化に伴って、魚類やサンゴの分布域は両極に向かって移動し、春の産卵時期も早まっている。また、海水温の上昇幅は陸上の気温より少ないが、生物の変化は陸上と同程度かそれより大きいこともわかった。分布域の移動距離では、海洋生物は陸上生物の10倍、春季フェノロジーは、海洋では陸域の倍近い4日以上の早まりを示しているという。