アイルランドの「先進材料・生物工学研究センター」(AMBER)の研究チームは、高効率バッテリーをはじめ様々な応用が可能な“驚異の素材”グラフェンの簡単かつ安価な大量生産技術を開発した。グラフェンは、厚さが原子1個分の炭素シートで、超軽量で高強度、柔軟性にも優れ、際立った電気・光学・熱特性を備えている。具体的用途として、高速で透明、柔軟なプリンタブル・エレクトロニクスや、軽量で高速充電が可能な電気自動車用バッテリーなどエネルギー貯蔵技術、化学処理における白金等の代替材料、航空機部品の超強力コーティング剤や軽量複合材など、あらゆる産業での応用・製品開発が期待できる。同チームの研究で、これらのうち一部技術の商品化が実現しつつあるという。欧州委員会では、新たな研究プログラム「ホライズン2020」(2014~2020)の下、欧州の競争力の要となる次世代・新興技術(FET)の開発に27億ユーロの助成を行うことを決定している。AMBERも参加するグラフェン開発もその一部で、今後10年間で10億ユーロが投じられる。