国連環境計画(UNEP)は、金融イノベーションによって持続可能な開発の資金不足を埋める方法に関する報告書を公表した。これは、「持続可能な金融システムの設計」を目的にUNEPが2014年から実施している調査の第三中間報告書で、銀行、保険、投資、証券等の重要部門についての12カ国の調査に基づいている。報告書では、問題の根幹は金融市場において環境資源の価格付けが未だ効果的に行われていないことにあるとしたうえで、銀行、債券市場、機関投資の3つの主要な資産プールの仕組みに持続可能性を組み込むことが提案されている。その他、持続可能性を考慮した量的緩和等の中央銀行の金融政策や、環境の脅威を金融的視点から把握するための環境ストレステストといった政策手段への関心が高まっているという。UNEPは、「包括的な豊かさのためには、自然資本にも効果的に投資される金融システムを構築する必要があり、こうした新たな手法は必要に迫られているだけでなく真の利益を生むものでもあるという認識が金融関係者の間で広まっている」としている。