国連環境計画は、「イクレイ-持続可能性をめざす自治体協議会」等と共に、地域エネルギーシステム(地域冷暖房)の有効性と開発方法を示す報告書を発表した。地域冷暖房とは、冷暖房や給湯等に利用する蒸気・温水・冷水を都市の集中拠点から各建物に供給するシステムである。都市は、世界のエネルギー消費量の70%、温室効果ガス排出量の40~50%を占める。一部の都市では、エネルギー消費量の半分を冷暖房や給湯等が占め、その非効率性が莫大な経済・社会コストをもたらしている。報告書では、すでに地域冷暖房を導入している45都市(アメリカのセントポール、カナダのトロント、フランスのパリ等)の事例を分析。最新の地域冷暖房への切替で、一次エネルギー消費量を最大50%削減、またエネルギー部門で2050年までに必要な排出削減量の60%を削減でき、気候変動緩和に極めて有効で費用効果も高いという。しかし地域冷暖房の潜在力はほとんど未開発であることから、報告書では、地方自治体が段階的に開発を進められるようツールや優良事例を示した。