欧州連合(EU)は、野生動植物種を守るためにその国際取引を管理するワシントン条約(CITES)に、181番目の締約機関として加盟した。欧州委員会は、2014年に実施した意見聴取を経て、野生動植物の不正取引に対するEU行動計画の準備に着手しているが、今回のCITES加盟はこの作業を大きく前進させるという。近年、野生生物の不正取引は規模が拡大しており、薬物、武器、人身売買に次ぐ世界第4位の違法ビジネスとして、国際組織犯罪の大きな資金源になっている。このため、CITESの強化と野生生物の不正取引阻止は世界の優先課題になっており、CITESはインターポールや国連薬物犯罪事務所などの国際機関とも協力し、この分野の国際組織犯罪に対する取り組みを強化している。また、締約国が違反を繰り返した場合、最後の手段として貿易制裁が科されることもある。欧州委員会のヴェッラ環境委員は、「CITESは、国際社会が野生生物犯罪や野生生物の持続性を損なう違法な取引と戦うための最良の対応策」だとしている。