国際エネルギー機関(IEA)は、人口増、農業の集約化、気候変動などによる利用可能な淡水資源の減少に備え、未来のエネルギー供給確保のために水の持続可能な利用を訴えた。水は生命に不可欠な資源だが、石油や天然ガスの地中からの汲み上げ、水力発電ダム、原子炉の冷却など、エネルギー生産でも年間約5800億m3という大量の淡水を使用しており、早急に資源減少への対応が必要だという。IEAは、エネルギー生産用の水資源の有効活用方法や、給配水事業、排水処理、海水淡水化などの水産業のエネルギー使用状況について分析した。それによると、水不足に悩むインドでは、エネルギー生産での水需要は向こう20年間で約50%増えるとされ、アメリカでも既存石炭火力発電所の60%程度で水の需給逼迫が懸念されている。対策として、ガス火力と再生可能エネルギーの発電比率引き上げが水使用量の大幅削減になるという。また、海水や再生水など淡水以外の水活用等の技術革新にも期待でき、適正な水価格の設定も節水に有効だという。