アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2015年に世界各地で発生した極端気象に人為起源の気候変動がどの程度影響を及ぼしたかを分析した報告書を公表した。それによると、インド、パキスタン、欧州、東アフリカ、東アジア、オーストラリアで発生した熱波、地球の平均気温の記録的高さ、3月の北極海氷域面積の記録的減少、アラスカの森林火災の激化、カナダ南西部の極端な干ばつなど、極端気象の中でも、特に気温に関連する事象で最も人為起源の気候変動の影響が検出されたという。一方、ナイジェリアで春季の雨季入りが遅れたことや、インドのチェンナイで12月に発生した豪雨など、降雨に関連する極端気象の多くでは気候変動の影響が検出されなかった。しかし、これは気候変動の影響が今のところは自然変動の範囲内に留まっていることを意味している可能性もあるという。今年の報告書は5つの大陸、2つの海洋の極端気象を分析した25本の査読付き論文で構成されている。2012年以降、同報告書シリーズでは100本以上の論文が掲載された。