国連環境計画(UNEP)は、自然資源の賢明で効率的な利用によって、2050年までに世界で年間2兆ドルの経済的利益が生まれると報告した。UNEPが支援する自然資源専門家集団である国際資源パネル(IRP)は、今後30年間について、「現状維持」から「各国が野心的な気候政策と資源効率向上の両方を実行する」までの4つのケースの分析を行った。その報告によれば、現在の傾向が続けば2050年までに世界人口は28%、1人当たり資源消費量は71%増える見込みで、資源効率の向上は急務だという。一方、気候対策のための投資は2050年までに人口当たりの世界総生産を3.7%押し下げる。しかし、世界では、資源効率の向上で2050年の資源利用を約28%低減できる可能性があり、それによって2050年までに気温上昇を2℃未満に抑制する費用を賄えるばかりでなく、さらに2兆ドルの経済的利益が上乗せされるという。報告書はさらに、資源効率向上の経済的利益の分配は産業によって不均等になるとも指摘するが、それでも、補償措置の実施やより効率的な手法への移行を促す政策へ転換するメリットのほうが大きいとしている。