国連気候変動枠組条約(UNFCCC)によると、国連食糧農業機関(FAO)は、2005~2015年に、自然災害によって発展途上国の農業部門で960億ドル相当の損害が生じたと報告した。こうした災害のほとんどが気候変動により発生または深刻化したもので、損害の半分(約480億ドル)はアジアにおけるもの。FAOは、この40年間でアジア太平洋地域での自然災害による経済損失は16倍に増加したと説明し、天候や自然資源に依存するアジアの農業は気候変動の影響を受けやすいと指摘した。また、アフリカ及び中南米・カリブ海諸国については、干ばつ被害が中心となり、2005~2015年の経済損失は前者が107億ドル、後者が130億ドルに上った。特に自然災害の影響を受けやすいのが小島嶼開発途上国であり、経済損失は2000~2007年の88億ドルから2008~2015年には140億ドル以上に拡大したという。FAOのダシルバ事務局長は、異常気象や気候変動から農業を守る取組を優先しなければならない、と述べている。